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浜松の文化の芽は生き続ける!! 万年橋パークビル貸事務所展に今すぐ行こう!!



jimottomallを始めた初期段階、4月3日に浜松の中心街にある万年橋パークビルを特集させていただきました。

>秘密基地のようなワクワクが詰まっている、万年橋パークビルを探検しました。

こちらの駐車場、元々は市営の駐車場だったのですが、2011年に民営化をされてました。



パっと見はただの駐車場ですが、実は文化の発信地。

駐車場の8階では演劇やライブ、飲食のイベントが行えるフリースペース。7階にはキューブ型のお店やアトリエの集まる実験的なスペース。

能楽稽古舞台のゆりの木舞台もあったり、1階には黒板とキッチンという名のセミナーやイベント、誰もが予約なしに使える休憩所としてのフリースペースがあったり、駐車場内には地元のイラストレーターの誘導看板が設置されています。

また、この駐車場があるゆりの木通りを会場にしたゆりの木通り手作り品バザール。バラを片手に夜のまち歩きとお店めぐりをするナイトブティックなども、こちらの駐車場があってこそのイベントです。



これらの文化を発信し、この町と人を愛し文化を根付かせた人達。

その中心には万年橋パークビルの前代表取締役社長、鈴木基生さんがいらっしゃいました。


前回の取材でjimottomall編集長タテイシは鈴木基生さんと初めてちゃんとお話をさせていただきましたが、記事に書いていない印象的な言葉があります。


「貸していた事務所からテナントが出ちゃってさ。ラッキーって思ったんだよね。」

「事務所が空いたってことはチャンスでね。これから新しいことができるって事なんだ。」

「学生に好きに使わせて、何が生まれるか見てみたいんだ。」

「学生はいつか居なくなるから貸さないほうがいいって言う人がいるけどそれは違う。ここに居た学生たちは自分たちの居場所でこの町を宣伝してくれているんだ。」


キラキラとした眼で楽しそうに語るその言葉は、とても鋭角的なのに優しさに溢れていて、前向きなエネルギーに魅了されました。

この取材のあと、もう一回だけ基生さんとお話をする機会がありましたが、残念なことに7月末に基生さんはお亡くなりになられました。


 

このタイミングと交差するように、空いた6階の事務所には基生さんから「無償で好きに使っていいよ」という話で静岡文化芸術大学の学生たちが入ってきました。

しかし、この場所でこれから何をしていこうと思っていた矢先に、基生さんはお亡くなりになりビルの経営者は変わってしまいました。



経営者が変われば運営方針も変わるもの。これはそれぞれの考え方で誰が悪いというわけではありません。

直接的に利益を産まない6階の事務所は退去を命じられ、話し合いの中で10月末日までには撤退することが決まりました。

1階の黒板とキッチンは契約が残っている来年7月で終了。

8階のフリースペースも、新しいイベントの予約は受けつけていないそうです。

つまり、万年橋パークビルという不思議な駐車場が持っていた文化を発信していくことは、徐々に無くなっていきます。


それぞれの立場では悔しさや哀しさがあると思いますが、これはもう仕方のないこと。

6階の学生たちも最初は憤りを感じていたものの、この場所に居たことを表現しようとします。



そして今回開催されたのが『貸事務所展』

ある日、事務所の窓に貸事務所と貼り紙をされたことをキッカケにして、この展覧会の名前が決まったとか。

負のエネルギーをポジティブに変換する。まさに基生イズムではありませんかっ!!


最初は怒りに感情をテーマにした展覧会にしようかと考えていたものの、せっかく来場してくれた方にそんな感情を押し付けるのは申し訳ないと、今まで自分たちがこの場所で何を考え、どのように思ったのか。万年橋パークビルとこの場所で築き上げてきた楽しい思い出や、この場所がつくってきた文化を改めて認識しようというテーマで、『貸事務所展』は10月19日から開催されました。


今回企画をしたのは全て浜松以外の土地で育った学生たち。

大学のために初めて来たこの土地に住み、短い間ながらに基生さんの言葉に感銘を受け、万年橋パークビルやゆりの木通りに魅力を感じてくれた、浜松の文化を「おもしろい」と思って、魅力を改めて伝えるという表現で抵抗をしている学生たち。

この浜松という土地に根差し生活する者として、この行為は本当にありがたい事だと感じました。



展覧会の会場は2箇所。

6階の貸事務所と、1階の黒板とキッチンです。


6階事務所は雑然とした感じ。学生たちがここで交流し、何をやっていこうかを話し合っていた姿をそのまま感じ取れます。

撤去の話などで展示に至るまでバタバタだったこともあって、正直な話を言えば整理されていなく、第三者にはあまりわかりづらい事は確かですが、この場所を訪れて学生たちと話をする来場者の声が、この展覧会でしかありえない魅力だと僕は感じました。



万年橋パークビルやこの町への思い出。文化への想い。基生さんの魅力。

そして大事なことは「これから何をしていかなければならないか。」という会話。

基生さんはこのゆりの木通りに大きな木を育てました。そしてこの木は沢山の種をまきました。

いつまでもこの木に寄りかかっていてもしかたがない。自分たちで芽を出そう。

そのような会話がこの場所から産まれているのです。



もう1つの会場は黒板とキッチン。

ここには今までの万年橋パークビルの思い出が張り出されています。

ここで行われたイベントのフライヤー。写真。ZINE。

jimottomallタテイシが昔に作った新聞も張り出されていました。

たくさんの思い出と、またこれらの思い出をずっと保管してくれていたんだ…という文化に対する愛情に涙。

哀しい気持ちで万年橋パークビルを後にすることになるのかな?と思っていたのが、少しだけポジティブな気持ちになった帰り道でした。


お元気な基生さんや、街の風景も映像で見れます。


文化とはいったいなんなのでしょう。

生きるだけであれば必要のないこと。でも生きることって食べて寝るだけじゃなく、生きがいを見つけて人生を楽しみ、人と語り一緒に喜び、胸をはってその文化を共有する。遠くの友達に「俺の街って面白いから、一度遊びに来てよ」って言える。

そういう大切なものだということを、このコロナの時代に思い知らされました。


万年橋パークビルの文化的側面を知っている人、知っているけど行った事がない人。まったく知らない人。多くの方がいます。

ぜひよかったら、この企画展の拡散をお願いします。

このビルのことを知らなくていい。ここで行われたイベントのことを知らなくていい。

この場所に居場所を作った学生たちが、なぜこの町を「面白い」と思ってくれたのか。

その芽を持ち帰ってみませんか?


 

貸事務所展

期間:10月19日(火)~10月29日(金)

会場:万年橋パークビル 〒430-0944 静岡県浜松市中区田町327−14

   1F黒板とキッチン 11:30~18:30

   6F事務所 13:00~18:30



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